ランニングコスパがいい暖房器具はなにか?

2019年。12月も後半だというのに金沢では未だまともに雪が降っていません。
とはいえ寒い!寒くなれば暖房器具が必要!

一重に暖房器具と言っても…

セラミックヒーター、エアコン暖房、石油ファンヒーター…etc

今回はこれらのうち、どれが一番効率が良いか!机上の理論で検証していきます。

※実際の使用環境、その他変数により異なることがあります。参考程度にご覧ください。

比較の仕方

セラミックヒーター、エアコン暖房は電気を、
石油ファンヒーターは灯油を使って熱を発生させます。

熱の単位は cal 、

コストの単位は とし、それぞれの熱コスパ cal/円 を計算したうえで比較を行います。

 

セラミックヒーター

セラミックヒーターで熱を発生させる原理は、抵抗加熱の原理によるものです。

消費電力1[kW]のヒーターを考えます。
ヒーターが消費するエネルギーはほぼ100%熱に変わります。

1時間(hour)動かし続けると

1[kW] × 1[h] = 1[kWh]

の電力量が消費されます。

1kWh当たりの電気料金は地域によって大きくばらつきがあります。

最安値の北陸電力では 17.85円/kWh
最高値の北海道電力では 23.98円/kWh

これらを加味してセラミックヒーターの熱コスパを計算すると、

1kWh≒860.421kcalなので

最安 ⇒ 860.421[kcal] ÷ 17.85[円/kWh] = 48.20[kcal/円]
最高 ⇒ 860.421[kcal] ÷ 23.98[円/kWh] = 35.88[kcal/円]

となります。

エアコン暖房

エアコンで熱を発生させる原理は、逆カルノーサイクルによるものです。

抵抗加熱の原理ほど単純ではありません。簡単に言うと、空気を圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がります。
圧縮した空気(熱くなった空気)を冷やし、それを膨張させると圧縮する前の空気の温度より温度が下がります。

これが冷房の原理で、暖房はその逆の操作をすることで実現しています。(膨張させた空気(冷たい空気)を温め、圧縮する)

上記をサイクル動作させることでエアコンは外の空気から熱を汲み取り、室内を温めることができます。

ではどのくらい熱を汲み取ることができるか?その指標となるものにCOP(Coefficient Of Performance)というものがあります。

1kWの電力を投入することで、どれだけの熱が汲み取れるか?というしものです。

例えばCOPが5のエアコンの場合、1kWの電力で5kWの熱を空気中から汲み取ることができます。

すごくないですか?
少なくともセラミックヒーターよりは効率が良さそうですよね!

具体的に計算してみます。

セラミックヒーター同様、1kWの電力を投入するとして、

最近のエアコンは暖房時でCOPが5はありますので、

5[kWh] = 4302.105[kcal] の熱量を出します。
ただし、外気温の影響等によりCOP5以上を安定して維持することは考えられないため、係数0.8をかけます。
※0.8の根拠はありません。実測ではもっと少ないかもしれません。

電力単価を考慮すると、

最安 ⇒ 4302.105[kcal] ÷ 17.85[円/kWh] × 0.8 = 192.81[kcal/円]
最高 ⇒ 4302.105[kcal] ÷ 23.98[円/kWh] × 0.8 = 143.52[kcal/円]

となり、圧倒的に効率が良い!

石油ファンヒーター

石油ファンヒーターで熱を発生させる原理は、燃焼によるものです。

燃料には主に灯油を使用しますので、この記事でも灯油で比較します。

灯油を1L燃焼させた場合の熱量はおおよそ8771kcalです。

1Lあたりの価格は地域差にかなり開きがあります。
今回は私の住む石川県での過去3年の最安値と最高値で計算します。(データはこちらのものを使います)

最安値:1295円/18L  ⇒  71.94円/L
最高値:1779円/18L  ⇒  98.83円/L

これらデータから計算すると

最安 ⇒ 8771[kcal] ÷ 71.94[円/L] = 121.92[kcal/円]
最高 ⇒ 8771[kcal] ÷ 98.83[円/L] = 88.75[kcal/円]

となります。

石油ファンヒーターは電気も使いますが、点火を除けばほとんど電力を消費しませんので計算に入れていません。

(おまけ)ガスコンロ

おまけです。

プロパンガスコンロの火で暖を取ろうと思ったときのコスパを計算します。

プロパンガスの熱量は24000kcal/㎥です。

1㎥あたりの単価は灯油以上に開きがあります。
300~700円/㎥といったところでしょうか。

これらから計算すると、

最安 ⇒ 24000[kcal] ÷ 300[円/㎥] = 80.00[kcal/円]
最高 ⇒ 24000[kcal] ÷ 700[円/㎥] = 34.29[kcal/円]

思ってたより効率いいんですね。
セラミックヒーターをつけるくらいならガスコンロで火炊いたほうが良さそうというのは以外。。

まとめ

以上を表にまとめるとこんな感じです。

暖房器具 熱コスパ[kcal/円] 順位
セラミックヒーター 35.88~48.20 4
エアコン暖房 143.52~192.81 1
石油ファンヒーター 88.75~121.92 2
ガスコンロ 34.29~80.00 3

この順位はあくまで1円当たりに得られる熱量をもとに決定しています。
実際使用するときは様々な要因が絡むため一概にエアコンが最強!とは言えまません。

例えば石油ファンヒーターは灯油を燃焼させているため同時に加湿ができます。
一方のセラミックヒーターやエアコンは純粋に熱のみを発生させるため相対湿度が下がり、空気が乾燥してしまいます。

また暖かい空気は部屋の上部に溜まる性質があるため、人間がいる空間の下のほうはいつまでたっても冷たい…なんてことになります。改善するにはサーキュレーター等を使って空気を攪拌させてやるのが良いでしょう。
エアコンは普通は上のほうに取り付けているため上記現象が顕著にでます。一方石油ファンヒーターは普通は下のほうに置いているため、サーキュレーターなしでも暖かく感じます。

このように一重に暖房器具と言っても奥が深いものです!

熱コスパとしてはエアコン暖房が最強という結論に至りましたが、各自の環境に合わせて適切な暖房器具を選択して快適な冬を送りましょう!